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教員コラム

Vol.14 スポーツにおける怪我からの復帰の促進と怪我をしない体つくりとは?

スポーツにおける怪我とリハビリテーション

スポーツをしていると多くのヒトが怪我をすることがあると思います.怪我の中には捻挫や打撲,骨折などの耳慣れた障害や障害名こそつかないものの膝が痛い,肩が痛い,腰が…と悩んでいるアスリートは非常に多いと思われます.また重傷なものになると膝の靭帯である前十字靭帯の損傷や半月板損傷,大腿部の肉離れや肩関節では脱臼や腱板損傷などなど,スポーツと関連した障害は非常に多岐にわたり存在します.特に大学生を対象とした調査では,日常的にスポーツをしている大学生のほとんどが怪我の経験があり,その中でも半数は3か月以上も治癒に時間がかかったという結果があります.毎日,ハードな練習や試合による故障(スポーツ障害)が発生するのはある意味,仕方がない面もあるとは考えられますが,アスリート生命を長く保ち,実りのあるものにするためには怪我を予防し,不幸にもけがをした場合にはいかに早く,そして元通り,もっとパフォーマンスがアップした状態で復帰するためには適切なリハビリテーションが必要です.私は,理学療法士としてリハビリテーション分野に関わってきました.これまで病院などで経験してきたことを少しでも同志社大学の学生アスリートに還元していきたいと思っております.
中村雅俊

中村 雅俊 助教

怪我の予防に必要なこととは?

一般的にストレッチングは怪我の予防や怪我からの復帰に用いることが多く,柔軟性が高い程,怪我の可能性が低いと考えられています.しかし,実際には柔軟性と怪我の発生には一定の見解が得られておらず,最近では運動前のウォーミングアップ中にストレッチングを行うことの意義に関しては世界的に議論をよんでいる分野でありますが,今回はリハビリテーション分野で重要視されるストレッチングが柔軟性に及ぼす影響について自験例を持って説明したいと思います.これまではストレッチングが筋の柔軟性を増加させると信じられていましたが,実際にヒトを対象にストレッチングの効果を検討した研究はほとんどありませんでした.その理由としては,実際に筋肉を取って調べることは出来ないために研究が進んでいなかったことが関与していました.しかし,最近では超音波診断装置を使って筋肉の状態を調べることが出来るようになりました.そこで我々は図1のような実験方法を使ってストレッチングが筋肉の柔軟性を増加させることが出来るのかを調べました.その結果,経験的にわかっていたことですが,ストレッチングをすることで筋肉の柔軟性が増加しました.しかし,面白いことに筋肉の柔軟性を増加させるためには最低でも2分間以上のストレッチングの時間が必要であることが明らかになりました(図2).これはふくらはぎの筋肉である腓腹筋を対象とした結果なので,他の筋肉でも同じ時間が必要なのか否かに関しては今後の検討の余地がありますので,今後も研究を続けていきたいと思います.
このように今まで常識だと思われていたことがまだまだ不明であることは非常に多いと感じます.実際に柔軟性が高い方が怪我の予防に繋がるかどうかやストレッチングにより怪我の予防に繋がるか…など,実際に感じていることが科学的には証明されていないことが非常に多くあるので,今後もストレッチングだけではなく怪我に対する予防やそのリハビリテーション方法などをこのスポーツ健康科学部で一つ一つ明らかにしていきたいと思います.
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図1

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図2

スポーツ健康科学部における私の研究の展望について

私はリハビリテーション専門職である理学療法士の資格を持っておりますので,実際に怪我をしている選手などのサポートも行っていきたいと思っております.その中で,リハビリテーションだけではなく,怪我の発生頻度や種類の調査,筋力や柔軟性などを測定し,どのような怪我が多く発生し,どのようなヒトが怪我をしやすいかなどを検討することや,それらの数値を基に怪我をしたヒトがどの程度回復しているのかを検討していきたいと思っております.同志社大学には数多くのクラブ・サークルがありますので,様々な競技でこのような検討を進め,各競技における怪我の発生の特徴を明らかにすることで,最終的に,各競技別における怪我を起こしやすい身体属性(筋力や柔軟性など)や怪我を起こしやすい状況などを明らかにし,怪我の予防のための対策や怪我をした後のリハビリテーション内容の考案などにつなげて生きたいと思います.これらの研究を進めることで,スポーツ健康科学分野に少しでも貢献できれば幸いです.
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