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教員コラム(渡邉 彰)

人生の選択肢としての「教師」を考える

1.教員を目指すこととその責任

渡邉彰教授 渡邉彰 教授

 同志社大学は企業への就職に大変強い大学であり、多くの者が一流企業へ巣立っていっています。一方、理由は様々ですが、毎年多くの者が教職課程をとっています。本学では、教員免許法及び同施行規則に基づき、中学校で68単位、高等学校で70単位を免許取得必要単位として課しています。重複はあるものの卒業単位に加え教職課程の単位を修得することは、並大抵のことではないと思います。しかし、学生の中には「免許さえ取れればよい」「単位さえ取れればよい」というような態度で講義に臨む者がいるのも事実です。教員を目指す者はもとより、免許を取ることだけを目標に履修している者でも4年時には教育実習を行うことになり、「先生」と呼ばれ生徒の前に立ち、生徒の人格形成に大きな影響を与えることになります。教職をとるということは「責任」を伴うこと。先生と呼ばれる身となることの「自覚」と「責任」をもって日々の講義に臨むことが求められます。

2.教員採用試験(保健体育科)の現状

 同志社大学では、中学校及び高等学校の保健体育科の先生になるための免許(1種)を取得することができます。しかし、教諭として教壇に立つには、都道府県教育委員会等が行う教員採用試験に合格する必要があります。この試験は7月から9月に行われ、京都府の2013年度の試験では、中学校が134名の受験者に対し9名が合格(14.9倍)、高等学校は183名の受験者に対し8名(22.9倍)が合格するといった状況です。全国的にみても中学校が10倍程度、高等学校が20倍程度の合格率になっており、生半可な取組では教師になることができないことを物語っています。スポーツ健康科学部の現役者の状況は、2011年度が15名受験し2名が合格、2012年度は25名が受験し5名が合格、2013年度は7名が受験し1名が合格しています。もちろんこの他に私学の教員を志した者も多々おりますが、公立同様、難関であることには変わりありません。教育系の大学の様子をみますと、教員採用試験合格に向けて、試験勉強は言うまでもなく、1・2年次から苦手種目の克服や学校ボランティア活動などに率先して参加している者が多いようです。

3.教員として求められる資質・能力と体育の指導

学校教育の直接の担い手である教師の活動は、人間の心身の発達に関わるものであり、児童生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすものです。また、「教育は人なり」と言われるように、学校教育の成否は教師の資質・能力に負うところが極めて大きいと言えます。 文部科学省は、教員に求められる資質として「教師の仕事に対する強い情熱」、「教育の専門家としての確かな力量」、「総合的な人間力」などを重視しています。これらを踏まえ、保健体育科の教員としてどのような資質・能力を身に付ければよいのでしょうか。保健体育科を指導する上では、体育・スポーツに幅広い知識をもっている、豊富な運動経験に基づく優れた指導力を備えている、保健や体育に関する的確な指導計画の立案能力を有している等々があろうかと思います。また、保健体育科以外の指導では、体育的行事の企画や運営能力に優れている、クラス担任として児童生徒の性格や心理を把握し的確に指導できる、他教科の教員と連携協力し教育活動を推進できる、適切な運動部活動の指導ができるなどが挙げられると思います。しかし、その中核となるのは、保健体育科の教員として「どれだけ優れた体育の指導ができるか」ということだと思います。体育は遊びではありません。教育として児童生徒に身に付けさせたいこと(目的)があるはずです。そのためには発達段階に応じて身に付けさせたいことを記した学習指導要領をしっかり熟知しておくことが求められます。その上で、体育・スポーツの専門家としての指導(手段)を構築していく必要があります。私も体育科教育学の一研究者として、学習指導要領に関わるよりよい指導や評価の在り方を探求していきたいと思います。

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