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教員コラム

Vol.7 「スポーツ・バイオメカニクス」とは?

バイオメカニクスという学問とは

スポーツ・バイオメカニクスは、文字どおり「スポーツ」と「バイオメカニクス」を組み合わせた言葉です。スポーツは良いとして、バイオメカニクスとは何でしょうか。バイオメカニクス(Biomechanics)は、「Bio- (生体,生命などを表す接頭語)」と「Mechanics(力学)」を組み合わせた用語であり、一般的には「生体力学」と訳されます。その内容は、生体の形(構造)と働き(機能)を力学的に解析し、その結果を応用する分野となります。したがって、バイオメカニクスの基礎となる学問分野は、物理学(とくに力学)と解剖学を中心として、数学、工学、生理学と多岐にわたります。バイオメカニクスの代表的な研究は、骨や腱、靱帯など生体材料の特性(堅さ、強度など)を評価することです。材料工学の分野では、鋼やアルミニウムなどの材料特性を評価する手法が確立されています。材料の特性を評価するには、対象となる材料から適切な大きさの試験片を切り出します。その試験片に対して、専用の測定装置を利用して力を加えます。その力と材料の変形量を計測することで、材料の応力とひずみが計測できます。応力とひずみの特性から、材料の堅さ、伸び、強度などが評価できます。この工学的手法を生体材料に応用することで、骨や腱、靱帯などの特性を評価できます。このようなデータは、とくに整形外科学分野で必要とされるため、バイオメカニクスは、医学との結びつきも強い分野です。そのため、バイオメカニクスは講義科目として、生命医科学部の科目として講義を実施しています。

スポーツ・バイオメカニクスという学問とは

バイオメカニクスでは、ヒトの身体動作を計測し、関節に加わる負担を評価することも重要な研究です。この研究は、歩行動作の解析が基礎となっていると言えます。たとえば、リハビリテーションによって歩行動作がどのように改善されたか、またロボットの歩行動作がどれだけ自然な動作であるかなどの指標となります。これらの技術をさまざまなスポーツに応用した学問が、スポーツ・バイオメカニクスとなります。そのため、スポーツ・バイオメカニクスの基礎は、バイオメカニクスとなります。したがって、スポーツ・バイオメカニクスを専攻するためには、バイオメカニクスと同様に、物理学(とくに力学)と解剖学が必要になります。

身体動作の計測・評価

例とした歩行動作解析では、股関節、膝関節、足関節といった下肢の関節モーメントを推定します。関節モーメントは、制限はありますが筋の活動量をかなりの程度直接的に評価できる数少ない指標です。関節モーメントを推定するためには、ヒトの身体動作を正確に計測する必要があります。ヒトの身体動作の計測には、一般的に、光学式のモーションキャプチャ・システムとフォースプレートを利用します。スポーツ健康科学部には、6台のカメラからなるモーションキャプチャ・システムと1枚のフォースプレートが設置されていま(図1).さらに,同志社大学には,学研都市キャンパス快風館の広大な動作解析実験室に10台のカメラからなるモーションキャプチャ・システムと2枚のフォースプレートが設置されています(図2)。スポーツ動作を測定するには、ヒトの関節に反射マーカを専用の両面テープで貼付します。この反射マーカの3次元位置をモーションキャプチャ・システムで計測することで、身体動作を計測します。同時にフォースプレートを用いて、ヒトが足を介して地面に伝える力とモーメントを計測します。これらのデータを元に、ヒトの身体の関節に加わる負担を推定します。
中村 康雄 准教授

中村 康雄 准教授

図1

図1

図2

図2

これまでの研究と今後の研究

これまでに、実施してきた、おもな研究テーマは以下となります。
1)野球の投球動作解析(図3)
2)サッカーのキック動作解析
3)OpenMRIを用いた肩甲骨運動の計測(図4)
4)肩関節シミュレータの開発(ロボット型シミュレータ)
野球やサッカーといったスポーツ動作において、関節にかかる負担を評価し、スポーツによる障害の発生メカニズムを評価していました。さらに、基礎研究として、肩甲骨の動作を含む肩関節の解析モデルを開発していました。同志社大学スポーツ健康科学部に入社後は、卒業論文、修士論文のテーマとして、スポーツ動作とそのパフォーマンスの評価に焦点を当てています。2013年度は、修士論文として以下のテーマを実施しています。
1)デュアスロン・トライアスロンの動作解析
2)サッカーのキック、ヘディング動作の動作解析
3)ピラティスの動作解析
4)クラシックバレエの動作解析
5)モーションキャプチャ・システムによる肩甲骨の動作計測(基礎研究)
このように、スポーツ動作やダンス動作のパフォーマンスを評価し、トレーニングに利用できるような定量的データの蓄積を進めています。また、モーションキャプチャ・システムを用いた身体動作解析の精度を向上させるための基礎研究も開始しました。今後も、さまざまスポーツ動作を計測・解析する予定です。
図3

図3

図4

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