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スポーツ健康科学研究科博士前期課程1年 藤田真子さん(環境生理学研究室) の論文が Frontiers in Physiology に掲載されました

'22年4月25日 更新
【研究内容】
一定の速度で歩行すると、歩行リズムと呼吸リズムがある比率で固定(同期)することがある。これをlocomotor-respiratory entrainmentと称し、活動筋由来の求心性信号が呼吸リズム中枢に入力されて起こるとされている。そこで我々は、ヒトを対象にトレッドミルの速度をサイン波状に変化させて、歩行様式を変えてみた。その結果、速度をサイン波状に変動させながら歩行頻度(テンポ)を固定した場合、呼吸数の変動が消失し(呼吸数がほぼ一定となり)、呼吸リズムが歩行リズムに引き込まれるlocomotor-respiratory entrainmentを確認した(図4)。スピードがサイン波状に大きく変動しているにも関わらず、下肢活動筋由来の求心性入力が、脊髄に存在するcentral pattern generator (CPG) を強力に修飾し、呼吸リズムを強制的に歩行リズムに同調させる引込現象をヒトで観察できた。
 さらに、ヒトの歩幅(ストライド)を固定し歩行頻度をサイン波状に変動すると、過剰な換気亢進が確認された(図7)。この過剰な換気は、下肢筋由来の求心性信号がグループⅢ・グループⅣと呼ばれる末梢神経反射経路を通って呼吸中枢にオーバドライブされたことを証明する結果となった。
サイン波運動負荷時のヒトの呼吸について、(1)locomotor-respiratory entrainment、(2)歩行頻度の増大に伴う過剰な換気亢進をそれぞれ確認し、本研究は歩行運動時のヒトの呼吸ダイナミクスに新たな知見を与えることとなった。

関連サイト
4

図4

7

図7

【研究内容】
一定の速度で歩行すると、歩行リズムと呼吸リズムがある比率で固定(同期)することがある。これをlocomotor-respiratory entrainmentと称し、活動筋由来の求心性信号が呼吸リズム中枢に入力されて起こるとされている。そこで我々は、ヒトを対象にトレッドミルの速度をサイン波状に変化させて、歩行様式を変えてみた。その結果、速度をサイン波状に変動させながら歩行頻度(テンポ)を固定した場合、呼吸数の変動が消失し(呼吸数がほぼ一定となり)、呼吸リズムが歩行リズムに引き込まれるlocomotor-respiratory entrainmentを確認した(図4)。スピードがサイン波状に大きく変動しているにも関わらず、下肢活動筋由来の求心性入力が、脊髄に存在するcentral pattern generator (CPG) を強力に修飾し、呼吸リズムを強制的に歩行リズムに同調させる引込現象をヒトで観察できた。
 さらに、ヒトの歩幅(ストライド)を固定し歩行頻度をサイン波状に変動すると、過剰な換気亢進が確認された(図7)。この過剰な換気は、下肢筋由来の求心性信号がグループⅢ・グループⅣと呼ばれる末梢神経反射経路を通って呼吸中枢にオーバドライブされたことを証明する結果となった。
サイン波運動負荷時のヒトの呼吸について、(1)locomotor-respiratory entrainment、(2)歩行頻度の増大に伴う過剰な換気亢進をそれぞれ確認し、本研究は歩行運動時のヒトの呼吸ダイナミクスに新たな知見を与えることとなった。

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