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スポーツ健康科学研究科 博士後期課程2年の森隆彰さんが第78回日本体力医学会大会にて「第20回大塚スポーツ医科学賞 特別賞」を受賞しました!
2024年9月2日~4日に佐賀県佐賀市の佐賀大学本庄キャンパスにて、第78回日本体力医学会大会が開催されました。今大会において発表しました「歩きやすい・歩きにくい地域における身体活動と運動環境との関連」がスポーツ医・科学の研究分野における主として若手研究者の育成及び振興を目的とした「第20回大塚スポーツ医・科学賞 特別賞」を受賞しました。
受賞名
第20回大塚スポーツ医 科学賞 特別賞
発表演題
歩きやすい・歩きにくい地域における身体活動と運動環境との関連
筆頭発表者名
森隆彰
連名者
小山晃英(京都府立医科大学),大石寛,大道智恵,池上健太郎,山口寛基,花野宏美,廣惠優,松村梨那,石井好二郎
同志社大学石井研究室では京都府立医科大学と日本多施設共同コーホート研究(J-MICC)の京都フィールド(第二次調査)と共同研究を行っています.
同志社大学石井研究室内の地理情報システム(GIS)を用い,調査対象者の自宅近隣における公園やスポーツ施設などの運動環境の充実度を客観的に評価しました.本研究では,J-MICC京都フィールド内で歩きやすい地域・歩きにくい地域ごとに,40-70代の中高年における運動習慣と運動環境の充実度との関連を検証いたしました.
なお,地域の歩きやすさの指標として,日本全国の郵便番号界ごとに公開されている全国郵便番号界ウォーカビリティ指標(JPWI; 谷本ら,季刊地理学, 2023)を使用し,対象者の中央値よりウォーカビリティ指標が高い地域を「歩きやすい地域」,中央値より低い地域を「歩きにくい地域」としました.歩きやすい地域では先行研究の結果を支持するように,歩道が多い地域ほど息がはずまない身体活動(ウォーキングやゴルフなど)の頻度が多い結果が得られました.
一方,歩きにくい地域でも,自宅近隣にスポーツ施設(体育館やフィットネスクラブなど)が充実している環境下では,息が少しはずむような身体活動(ジョギング,軽い球技,ダンスなど)を行う頻度や1回あたりの活動時間が長いことを明らかにしました.日本でも歩きやすいまちづくりを,国を挙げて推進していますが,農村部や都市部郊外など,なかなか歩きやすいまちづくりが行き届かない地域も存在する現状です.今回得られた知見はそのようなまちづくりが行き届かない地域に対し,様々なスポーツが経験できる場所の存在が近隣住民の運動習慣の確保に寄与することを示唆し,歩きやすい地域・歩きにくい地域それぞれの地域特性に応じた環境整備を行う重要性を強調するものであります.