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スポーツ健康科学研究科 博士後期課程2年 北村将也さんの研究論文が、国際学術誌「Neuropsychologia」に掲載されました。
スポーツ健康科学研究科 博士後期課程2年 北村将也さんが、本学スポーツ健康科学部 上林清孝 准教授と共同で取り組まれた研究論文「Changes in corticospinal excitability during motor imagery by physical practice of a force production task: Effect of the rate of force development during practice」が、国際学術誌「Neuropsychologia」に掲載されました。
運動イメージ中には大脳皮質の一次運動野から脊髄α運動ニューロンへ投射する皮質脊髄路の興奮性が高まることが、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いた研究から明らかになっています。さらに、力発揮課題を練習した直後には、その課題の運動イメージ中の皮質脊髄路興奮性が練習前よりも増加するとされています。しかし、力発揮イメージ中の皮質脊髄路興奮性増加が、練習した力の立ち上がり率(RFD)に依存するのかは明らかになっていません。そこで本研究では、運動イメージ中の皮質脊髄路興奮性が、反復練習したRFDでの力発揮イメージを行った場合にのみ促通されるのか検討しました。
28名の実験参加者は、右示指外転による一定のRFDでの等尺性力発揮の練習を行いました。半数の参加者は0.85秒で目標力発揮レベルに到達する高RFDでの力発揮のみを、もう半数は3.5秒で目標力発揮レベルに到達する低RFDのみ練習しました。練習前、練習直後、練習20分後には、両RFD条件での力発揮イメージを全参加者に行わせました。力発揮イメージ中にTMSを左一次運動野に与え、皮質脊髄路興奮性の指標である運動誘発電位(MEP)を右手の第一背側骨間筋から計測しました。
その結果、高RFDでの力発揮を練習した群において、高RFDでの力発揮イメージ中でのみ、 練習直後でのMEP振幅が練習前や練習20分後よりも有意に増加しました。一方、低RFDでの力発揮を練習した群ではMEP振幅に有意な変化は観察されませんでした。
本研究は、短時間での素早い力発揮のため、運動をイメージしにくい高RFDでの力発揮イメージ中の皮質脊髄路興奮性において、同じ高RFD条件での練習を行うことで短期的に増加することを示唆します。これらの知見は、運動イメージの神経メカニズムへの理解を深めることに繋がるものと考えられます。
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